野庵 -yarn-

つまみ簪：姫コ -Himeko-

巴は色白う髪長く　容顔まことに美麗なり屈境の荒馬乗の悪所落とし
弓矢打ち物取ってはいかなる鬼にも神にもあふと云う１人當千の兵なり

〔平家物語第九巻 = 木曾最期 = 〕

宇治川の戦いで敗れ落ち延びる義仲に従い、最後の七騎、
五騎になっても討たれなかったという巴。
死を覚悟した義仲に　「落ち行け」　とさとされ
　「よき敵出で来よ。殿に最期の戦をして見せん」　と
気丈に戦い、彼女は一人歴史から消えていきました

激しい源平合戦の時代、大鎧に刃をまわし想い人とともに戦場を
駆け抜けた女武者がいました。彼女の名は巴御前　ともえごぜん
木曽の山あいでともに育った幼馴染は源氏の雄木曽義仲となり
歴史の表舞台へ。義仲と共に生き最期まで戦うことを選んだ彼女
は彼の死とともに史実から消えひとりこの世に取り残されました.

巴：作品詳細

この作品は「剣」「涙」「垂れ」の３本で構成されています。

　　*　剣　拡大　　　　*　涙　拡大
　　*　垂れ　拡大
　　*　着用例　

● この作品はお嫁入りが決定しました。

Product No.: Hi-080501
Size: 剣　最大 15ｃｍ 11g
Size: 涙　最大 16ｃｍ 15g
Material(素材): 江戸縮緬他
Price: ￥20,000-　(税込￥21,000-)

このつまみ簪は

「端午の節句」ということで強い女性をイメージして制作しました。2本で１人の女性を表わします。敵の武将の首をねじ切ったと記されるほどの強い女性、巴。常に義仲を支える、その芯の強さを剣の十字で表わしました。
義仲が木曽から都に登りつめるまでのすべての道程を支えるには、優しさや気遣いがあってこそだと思うのです。そして彼女は正妻ではなかった。最期までともにいたいと願った想いが、彼女を強くしたのでしょうか。そんな強い女性がひとり落ちのびた後が、私はとても気になりました。涙のやわらかい色は大正時代の振袖の表地を使用し、義仲を想う彼女の女性や母性の部分をあらわしました。石は天然の輝石を使っています。
2本で１対の意味が伝われば嬉しいです。

Snowdrop 企画始動！

2008年4月からの1年間、それぞれの月にあわせ姫コさんがつまみ細工で12ヶ月を表します。今までにない「つまみ細工」の世界へ。企画のタイトルとなった【 Snowdrop 】の花言葉は「希望」。
12か月後、姫コさんが見つける待雪草を庵の大切なお客様もともに、楽しみ見守っていただければ嬉しいです。

先日、姫コさん指導の【つまみ細工の会】が開催され盛会に終わりました。楽しい1日、お客様は若い男性から中学生、熟年マダムまで。

　　　　　●　ワークショップご報告

次にお会いできる機会を楽しみにしております。

つまみ細工とは

江戸時代中期、薄地の布を正方形に小さく切り、これを摘んで折りたたみ、組み合わせる手芸が大変流行りました。（女官や大奥などでもてはやされていたとか。）日本古来の繊細さや細やかさを活かしたつまみは、丁寧な同じ作業の繰り返しのなかで花や鳥を生んでいきました。今なお、七五三や成人式などのハレの日に欠かせない髪飾りのひとつです。
また、古より象牙・鼈甲・螺鈿、すばらしいハレの日用の簪がございますが、つまみは豊富な色と模様、そして値段も手ごろなことで、七五三の簪からと幅広い用途で、様々な階級層に愛されてきたすばらしい伝統工藝です。