2年目の3.11 南相馬での深堀隆介さんライブペイントのこと(前日)
2013年3月11日、美術作家 深堀隆介さんが
津波で半壊した福島県南相馬市萱浜(かいはま)地区の
被災者のご自宅でライブペイントを行われました。
拙い言葉と写真ですが、あの日のことを。
(写真はクリックして頂くと少し大きくなります。)
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前日の3月10日、深堀隆介さんと
南相馬の現場に向かいました。
場は上野敬幸さんのご自宅。
実は去年の夏、ぽっぽ手ぬぐいでお世話になっている
山田神社の宮司 森幸彦さんに案内いただいた場所でした。
そのとき、上野さんは津波でお嬢さん(当時8歳)と息子さん(同3歳)
そしてご両親の4人を失われたと聞きました。
水につかった建物は当時のままです。
当時、荒々しい水の痕
そして朽ちかけの骨組みの残った建物に
津波の威力を生々しく感じ、
鳥肌が立つほどショックを受けたことを思い出しました。
流され、なにもない風景が続く中で、そこには
3.11前の記憶があちこちに散らばっていたから。
花とお菓子が添えられた祭壇の脇に、泥の中から
探し集められたのか、たくさんのおもちゃがありました。
泥だらけのそのコたちは持ち主を待っているかのようで
その時はただ手を合わせるのが精一杯で、
1枚の写真も撮れなかった場所でした。
2度目の来訪。
遮るものが残っていないからか、海浜からの突風と
砂ぼこりで目があけられないほどです。
設営は風除けの壁づくりからはじまりました。
剥きだしの家の基礎と柱。
シャッターを向ける私は侵入者のようで
どうしても家の中へは入れませんでした。
畳2枚分の大きさが運ばれてきました。
今回はここに描かれます。
準備が進むにつれ、深堀さんは
言葉をのみこんでいくように見えました。
深く沈んでいくように、考え悩まれているようでした。
それはかなりの時間。
キャンバスに向かい、問いかけ
答えを探しているように。
口数もすくなくなって、
「なんか胃の調子がね、、」
と、おっしゃられていました。
吹きさらしの海風に手がしびれるほど
冷えこんできた夕暮れ時。
設営も終了し、その日の夜は
福島市内に戻りました。
ライブペイント開始は津波発生時 午後2時46分。
犠牲者への祈り、福島への想い。
深堀さんのライブペイントはいつも良い意味で
裏切られ新鮮でドキドキするのですが、
今回は、
「どんな金魚が生まれてくるか楽しみです」
とは言えなくて、この日は解散となりました。
今思うと東京で落ち合ったときからずっと
深堀さんは静かになにかを待っているようでした。
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