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2012年9月26日 (水)

特別な夏の宿題 * 南相馬(ヨッシーランド)での時間

鳥いっぱい鳥居」は南相馬市に立っています

大津波で沿岸部2000世帯がほぼ壊滅と
大変な被害があった場所

ここは当時、原発の恐怖から沢山のパニックとともに
救助救援が立ちいかなかった場所と知りました

お盆の少し前に、南相馬に初めて行った日のことを
書きます


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視界には電線のない澄んだ空と夏草の緑

静かな遥か海と空の線まで見渡せる場所でした

(今回の記事の写真は大体が大きくなります。)


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はとちゃんとわたし
ガイドしてくださったのは森さんです

森さんは伊勢大御神の神職
(山田神社の神職も兼務)

ここは兼務されている社のひとつ御刀神社

ぽん ぽん と針葉樹の小さなかたまりがあって
そこには大小の石があって

森さんから

「全部、流されちゃったけど鎮守の杜にひっかかって
ここにはすこしだけ残ってるんです」

そう説明を受けました


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石は狛犬の礎イシズエで
以前の面影を唯一伝える

神域にはよく見ると布袋様やら大黒様やらの置き物が
たくさん並べてあって

守る家をなくした神様たちがにこやかに集っていた

土にささった木杭には名前が書いてあって 

ためらって
レンズを向けれませんでした


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You tube やネットや色んな媒体で事前に知識を入れて
自分の中で厳しい場所にいくだろう気持ちの準備もしていた

1年以上もたつ

実際の場で、かろうじて残るその被害の影のリアルさに
どうしていいかわからなくなった

車で向かった場所は南相馬市原町区の介護老人ホーム

建物も中のモノもすべてのみこまれた場所でした


62s


「入らせていただきます。」

エントランスにお線香の煙と匂い


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猛暑の日だったからか
のどがカラカラに渇いた

自分の心臓の音

「この千羽鶴はいつからかけてあるんだろ」

ちいさく息をはいて
森さんたちの後を追った


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ここは高齢の方が余生を過ごす施設でした

あの日は入所者・利用者約140名、
職員は60名ほどが勤務していたそうです


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海から約1km 市が作成したハザードマップでも、
津波被害の想定区域には入っていなくて

だれも施設にまで津波が押し寄せることを
想定していなかった場所でした


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36名の方がお亡くなりになり、
1名の職員の方が行方不明と聞きました


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やわらかな陽射しがさしこむ空間

ここはカフェで

きっと楽しい時間が流れていた

静かに思考がとまった
眼を瞑ったのかもしれない

なにも残っていない


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天井に水の跡

「ここまで水、きたんだね」

はとちゃんの声に意識が返る


65s


ホールには愛らしいお雛様の絵があった

「なんで、この絵はのこってるんだろ」

泣きそうになりながら声が出た

「ここは少し斜面で水がこなかったんじゃないかな」


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残された桃の花に

今、ここでシャッターをきる不遜さに

頭の奥がじんじんして
言葉が出なくなった


71s


森さんから

「ここはお盆あけに取り壊しが決まりました。」

事前にそう聞いて

「今、撮らないと」

そんな理由付けを急遽自分の中でして
シャッターを押していました


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中のものも撤収されて
泥や瓦礫の掃除も終わって


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もうなにも残っていなくて

あの日の痕跡だけがありました


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帰ってネット上で調べると、その惨状が
わかる記事を見つけました

ここは福島原発から30km内、当時1号機で水素爆発が発生し、
刻々となにが起こるかわからない状況下で
津波から逃れた多くの人が市外へ退避していた

その中で残られた職員の方々の覚悟と
懸命な対応がそれ以上の惨事を防いだと知りました


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時計があった

動いていた

ただ壊れていて

秒針が一秒、そして一秒進むと
振り戻った

進もうとして、戻れない
涙が出た


116s


外ではとちゃんと森さんが待っていてくれた

撮り残しがきっとある

かもしれないけれど
もうシャッターが押せなかった


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森さんと出会ったとき

「毬詠さんのBlogは美しいものを載せるのでしょう。
それがなんでここの、言ってしまえば
とても汚い場所を撮りたいんですか?」

そう聞かれました

その時はうまく言えなかった

私の中では、

「美しい=本当」の図式があって
本当を感じに行ったんだと思います


136s


この写真は「ぽっぽてぬぐい」のお祓いに
駆けつけてくださった方にいただきました

その方の添えられたテキストに

南海老から。青い空、青い海、火発、献花。

海は悪くない

そう、書かれてありました


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「今までがあって、現在があって
そして未来へ向かいます。

歴史の一通過点として
こういう事があったと
知っていてほしい。」

史学に通じる森さんらしい言葉に助けられて
この記事をUPします

ぽっぽてぬぐい」をつくる過程で福島の方と
たくさんの出逢いをいただきました

ゆたかで優しい、大変な強さを感じました

原発のこと
放射線のこと
内部被爆のこと

今からもっと学びます

怖がらないでまた会いに行きたいと思うから


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読んでくださいましてありがとうございました

今夏いただいた宿題は、これからの宿題になりました

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山田神社鳥いっぱい鳥居 を映した ● ぽっぽ手拭販売ページ


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コメント

まりえさま
美しい=本当の図式
よくわかります
見かけはとても綺麗でも、美しくないものはこの世にいっぱいあります

投稿: アンクル | 2012年9月27日 (木) 12:01

アンクル様

わかって頂けますか!

へなちょこ表現力ですが
厳しい状況を直視して戦う人に
心が動きました。

美しいや本当を感じることは、時に
震えるほどコワいです。

ただそういうアンテナを
大事にしたいと思っています。

もっと強くありたいと思いました。

投稿: marie | 2012年9月28日 (金) 17:23

まりえさま
美を求めるには強さが要るってことですね?
まりえさんってホンモノですね
そう感じました

投稿: アンクル | 2012年9月29日 (土) 23:03

アンクルさま

ホンモノに焦がれます

だから追いかけるんだと思います ^^

よわよわでヘナチョコですが
ガンバリマス◎

投稿: marie | 2012年9月30日 (日) 00:39

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