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2008年2月27日 (水)

佐川美術館 水没する茶室編




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がんばって早朝、滋賀の守山に着いた。
理由はお茶室見学の当日キャンセル待ちにかけたから。


With


水没するお茶室 そんな字面だけでドキドキ

そこは水に浮かぶといわれる佐川美術館の新館。
15代樂吉左衞門さんが手がけた佐川美術館内にある展示室とお茶室。

茶室は1か月前からの完全予約制。そんなこと知ったのは出発前日の夜。


Sagawa_art_museum


一番乗りで伺ったタイミングに空きが。 頑張ってみるもんやねー☆
(基本的にキャンセル待ちも受け付けていないとのこと) 

あのなかに入れるにょーっ・・ヘ(= ̄∇ ̄)ノ


Sagawa_art_museum1


「水庭に浮かぶように施設された茶室と地下の展示室からなる・・・」

そう書いてあっても、全然ピンとこなかった。

新館に向かう渡り廊下の天井に水面から反射する光がゆらゆら

ここは水庭の地上部に位置する。


Sagawa_art_museum8


あえて照明を抑えた階段
地下へ地下へ降りていく  ほの暗い足もと


Down_down_down


パッと、地下にあるはずのない自然採光が広がる

やわらかな光 吹き抜けから落ちる光の壁

これいじょうない非日常な空間にのまれた


Sagawa_art_museum9


光源を見上げると、ここは水底なんねって思い知る


Water


光の壁の反対側には木目の美しい大木の椅子。
春には立礼席になるとか。
こんな光と翳のゆらぐ場所で、お茶飲めたら感無量だのー


Sagawa_art_museum10


ここのコンセプトは 「守破離(しゅはり)」

  規矩(きく)作法、守りつくして 破るとも 離るるとても 本(もと)をわするな

 千利休

展示室は撮影禁止なので写真はここまで。
なかの樂の展示は、2時間いました (笑
出る人は10分ほどで流れていくなか、見たことのない樂焼に大興奮。

そろそろ見学の時間。

お茶室の見学定員は1度に10名。 理由は入亭してすぐわかった。


Syuhari


徹底したこだわりが随所に。
寄付(よりつき)をとおり抜けると、水を張った円形の「水露地」に出た。

垂直に水没すること3000
コンクリート壁を伝い、露地へと水が脈打つように流れおちる
円形にくりぬかれた天と存する地の自分、
光と風は感じても、この路地には木や草花 「自然」 はない。

なんて潔い   徹底した当代の世界観
 
感じなきゃって、感覚が研がれていくのがわかった 
そんなことは初めてで。


Sagawa_art_museum3


小間へ移る。 水底に、閉じた空間の茶室 「盤陀庵(ばんだあん)」。

大きな手漉き和紙にわずかに差し込む光が影を映す
外界との接触は光の変容のみ

天井の煤竹から漏れる幽かな光に汲まれる空間
極限の緊張と計算されつくした隙のなさ

とてつもない美を感じた 


Sagawa_art_museum4


緊張から解き放つような、眼前の大きな景色にみんなふわっと笑顔になる。

  ● 大きくして体感

ここは「俯仰軒(ふぎょうけん)」 今日の記事3枚目の画像の葦の向こう側


Sagawa_art_museum2


水面と同じ高さに座す

当代は、高床の上から自然を見ないよう水面0レベルにこだわったとか。

茂る背ぇ高のガマの穂と葦(アシ)に隠れることが、とても心地いい。

ここの夏の夕暮れは、どんなにかきれいだろぅ。


Sagawa_art_museum5


岩の上に直接敷かれた畳からはちゃんとイグサの匂い
吊り障子の光と影 日本文化の結晶がここにありました。

大きなガラス窓に完全空調。 現代技術もテンコモリで (笑
 (外ではこの日、粉雪が舞ってたん。)


Sagawa_art_museum6


そう、水路地の腰かけ等、バリ島のアンティーク古木がここでは多く使用されていて。
長い間、人の手によって使用された跡が窪んでいた。

プリミティブな荒さと際立つ素材感、ブラックコンクリの無機質さと端正さ。
すべてが同じ緊張感で対峙し、徹底し、差し替え余地のない完璧な空間。
それは調和されていて素晴らしく気持ちいい。


Sagawa_art_museum7

 
現代における非日常は、いかに気がつくかー。
それは眼に見えるものがすべてじゃない。

圧倒的な当代の世界観のなかから、そんなメッセージを感じる。

詳しく知りたくて、いつも買わない 美術館建築目録 を買った。
見たい人は言ってねー☆




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コメント

タイムリーな話題です。
テレビでやっていたので
いってみたいなー と思っていたので。
滋賀だったのですね(場所を聞き逃してたので)
近いしぜひ予約していってみたいと思います。

投稿: まきまきさん | 2008年2月27日 (水) 08:27

押さえきれない昂揚が

距離を超えて 
 

投稿: BOSS | 2008年2月27日 (水) 09:11

まきまきさま

是非☆
TVは「美の壷」でしょうか?
明日書きますが、お子様も楽しめる
ステキ美術館です♪

関西はまだまだ寒いですねぇ。


***********

Bossさま

あ。昂揚 美しい言葉だw。
実際は初めて文明を目の当たりにした
サルをイメージいただければ☆

ステキ空間に鼻血でそうでした(笑

投稿: 毬詠 marie | 2008年2月27日 (水) 13:01

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