佐川美術館 水没する茶室編
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がんばって早朝、滋賀の守山に着いた。
理由はお茶室見学の当日キャンセル待ちにかけたから。
水没するお茶室 そんな字面だけでドキドキ
そこは水に浮かぶといわれる佐川美術館の新館。
15代樂吉左衞門さんが手がけた佐川美術館内にある展示室とお茶室。
茶室は1か月前からの完全予約制。そんなこと知ったのは出発前日の夜。
一番乗りで伺ったタイミングに空きが。 頑張ってみるもんやねー☆
(基本的にキャンセル待ちも受け付けていないとのこと)
あのなかに入れるにょーっ・・ヘ(= ̄∇ ̄)ノ
「水庭に浮かぶように施設された茶室と地下の展示室からなる・・・」
そう書いてあっても、全然ピンとこなかった。
新館に向かう渡り廊下の天井に水面から反射する光がゆらゆら
ここは水庭の地上部に位置する。
あえて照明を抑えた階段
地下へ地下へ降りていく ほの暗い足もと
パッと、地下にあるはずのない自然採光が広がる
やわらかな光 吹き抜けから落ちる光の壁
これいじょうない非日常な空間にのまれた
光源を見上げると、ここは水底なんねって思い知る
光の壁の反対側には木目の美しい大木の椅子。
春には立礼席になるとか。
こんな光と翳のゆらぐ場所で、お茶飲めたら感無量だのー
ここのコンセプトは 「守破離(しゅはり)」
規矩(きく)作法、守りつくして 破るとも 離るるとても 本(もと)をわするな
千利休
展示室は撮影禁止なので写真はここまで。
なかの樂の展示は、2時間いました (笑
出る人は10分ほどで流れていくなか、見たことのない樂焼に大興奮。
そろそろ見学の時間。
お茶室の見学定員は1度に10名。 理由は入亭してすぐわかった。
徹底したこだわりが随所に。
寄付(よりつき)をとおり抜けると、水を張った円形の「水露地」に出た。
垂直に水没すること3000
コンクリート壁を伝い、露地へと水が脈打つように流れおちる
円形にくりぬかれた天と存する地の自分、
光と風は感じても、この路地には木や草花 「自然」 はない。
なんて潔い 徹底した当代の世界観
感じなきゃって、感覚が研がれていくのがわかった
そんなことは初めてで。
小間へ移る。 水底に、閉じた空間の茶室 「盤陀庵(ばんだあん)」。
大きな手漉き和紙にわずかに差し込む光が影を映す
外界との接触は光の変容のみ
天井の煤竹から漏れる幽かな光に汲まれる空間
極限の緊張と計算されつくした隙のなさ
とてつもない美を感じた
緊張から解き放つような、眼前の大きな景色にみんなふわっと笑顔になる。
● 大きくして体感
ここは「俯仰軒(ふぎょうけん)」 今日の記事3枚目の画像の葦の向こう側
水面と同じ高さに座す
当代は、高床の上から自然を見ないよう水面0レベルにこだわったとか。
茂る背ぇ高のガマの穂と葦(アシ)に隠れることが、とても心地いい。
ここの夏の夕暮れは、どんなにかきれいだろぅ。
岩の上に直接敷かれた畳からはちゃんとイグサの匂い
吊り障子の光と影 日本文化の結晶がここにありました。
大きなガラス窓に完全空調。 現代技術もテンコモリで (笑
(外ではこの日、粉雪が舞ってたん。)
そう、水路地の腰かけ等、バリ島のアンティーク古木がここでは多く使用されていて。
長い間、人の手によって使用された跡が窪んでいた。
プリミティブな荒さと際立つ素材感、ブラックコンクリの無機質さと端正さ。
すべてが同じ緊張感で対峙し、徹底し、差し替え余地のない完璧な空間。
それは調和されていて素晴らしく気持ちいい。
現代における非日常は、いかに気がつくかー。
それは眼に見えるものがすべてじゃない。
圧倒的な当代の世界観のなかから、そんなメッセージを感じる。
詳しく知りたくて、いつも買わない 美術館建築目録 を買った。
見たい人は言ってねー☆
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コメント
タイムリーな話題です。
テレビでやっていたので
いってみたいなー と思っていたので。
滋賀だったのですね(場所を聞き逃してたので)
近いしぜひ予約していってみたいと思います。
投稿: まきまきさん | 2008年2月27日 (水) 08:27
押さえきれない昂揚が
距離を超えて
投稿: BOSS | 2008年2月27日 (水) 09:11
まきまきさま
是非☆
TVは「美の壷」でしょうか?
明日書きますが、お子様も楽しめる
ステキ美術館です♪
関西はまだまだ寒いですねぇ。
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Bossさま
あ。昂揚 美しい言葉だw。
実際は初めて文明を目の当たりにした
サルをイメージいただければ☆
ステキ空間に鼻血でそうでした(笑
投稿: 毬詠 marie | 2008年2月27日 (水) 13:01