【香りの会 2008冬】 日本ノ香リ 和ノ香リ Ⅱ
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香リナルモノハ ・・・
【 香りの会 】のワークショップまでに2回に渡って
お香のお話をしていきたいと思います。
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第二回目の担当は、妹の玲子がお送りいたします。
茶道や香道をたしなむ方は
練香というものをご存知かと思いますが、
それ以外の方には馴染みがないのではないでしょうか?
かくいう私も初めて練香を見た時、
「えっ!? この鹿の**(もとい、正露丸)みたいなモノがお香?」
などと思ったものです。
それもそのはず、
香原料は漢方薬が主原料。
薬の調合として、鑑真和上(がんじんわじょう)が日本に持ち込んでから
その中で特に香りの良いものが香原料として使われるようになったようです。
練香の形状が丸薬状なのが、その名残。
なかなかおもしろい成り立ちです。
この練香、
今でこそお目にかかることがなくなりましたが
明治頃までは一般的に薫かれていました。
もともと仏にお供えするものだった香は、
明治維新後の廃仏毀釈という仏教にとって不幸な出来事によって
一般庶民の生活から“香を薫く”という習慣を奪ってしまったようです。
ですが、鑑真和上の時代から連綿と続く調合法が
簡単に消えてしまうわけもなく。
今、まさに私達が香を愉しめるのも
不遇の時代を乗り切った先人のおかげともいえるかもしれませんね。
ここでひとつ、
調合の楽しさを伝授(?)いたします。
調合には、感覚がいろいろと刺激されます。
特に嗅覚が。
たくさんの香原料の香りを確認していると
「何のニオイだっけ???」という香りに出会ったり。
忘れかけていた記憶の断片などが思い出されたり。
はたまた味覚とリンクして、お腹が空いてきたり。
いろいろなもので頭の中もお腹もグルグルしつつ、
香を作り上げると不思議な感覚と満足感に包まれます。
この感覚が楽しくて
ついついハマってしまうのかもしれませんね。
不思議ついでに。
いい香りの香原料だけで香を作っても
良い香りが作り出せないんです。
「えッ!? こんなクサイのを入れるの?」
と、思ってしまうような香原料をちょっと入れると
より一層香りが引き立つという摩訶不思議な現象が。
(スイカにお塩をかけると甘みが引き立つのに似ていますね。)
ちょうど今年は源氏物語千年紀。
源氏物語でも語られている調香の楽しさを
肌で感じてみてください。
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掲載日:2008年12月 5日 (金)